W-asiのアメプロおぼえがき

AEWのせいで15年ぶりにアメプロ沼落ちしたオタクのブログです

テープトレーディングとロイ・ルシエとジョン・マカダムス

2ヶ月ぶりにハローはてブロ。

つまりAEWでSilent Jealousyがかからないまま2ヶ月が過ぎました。別のX版ワイルドシングスはかかったのにな?!

モクスリー&キングストンのエントランス動画がなかったのでメジャーリーグでお茶を濁します


それはさておき一応まとめとこうと思ったので北米アメプロオタク界におけるテープトレーディングの話をします。


テープトレーディング。早い話が昔の音楽雑誌やアニメ雑誌の読者投稿欄にあった「○○を録画しているテープを探しています。お譲りください」みたいなやつである。え?知らない?20年ぐらい前まではあったんだよ!

その発祥は1980年代のメタルブームにあるらしく、当時のメタルオタクたちはライブに行かないと手に入らない音源や、どこから流出したかもわからんデモテープの交換をせっせとしていたそうである。たぶんジェリコもやってる。


そして1990年代、誰が始めたかまではわからんが、北米はプロレス録画テープ大海賊版ビデオトレーディング時代であった(らしい)。アメリカのコアなプロレスオタクたちはアメリカ国内の試合では飽きたらず、日本やメキシコの試合を録画したテープを入手しダビングしまくりガンガンに交換しまくっていた。大仁田曰く「俺の試合のテープを見たポール・ヘイマンミック・フォーリーがECWをあんな団体にした」らしいので、その影響たるや計り知れない(まあ大仁田のことだからどこまで本当なのかはわからんが)。

ジェリコも初めてECWのリングに上がった時に北米で使っていないリングネームの「ライオンハート!」と呼ばれてビックリしたそうである。


日本の試合が放送されていなかったであろうアメリカで、なぜここまでテープトレーディングが盛んに行われたのか。ハッキリ言って雑誌の投稿欄で済むレベルの流通度ではない。 


胴元がいたのである。


アメリカには私の知る限り超重鎮といえるテープトレーダーが2人いる。

ロイ・ルシエとジョン・マカダムス。

右がロイ・ルシエ。HBKもおじさんになったねえ…

ロイ・ルシエは十代の時間のほとんどをプロレスグッズ収集とルチャリブレの視聴に費やしたというバチバチのプロレスオタクである。なんでアメリカでルチャが見れたかというと、たまたま彼の住んでる地域にメキシコ移民がやってきたのでBSチャンネルで見れたらしい。てかアメリカは地域ごとにBS衛星が違うのか…?広いからな…ついでに近所に日本のテレビを録画しては貸し出すブラックなレンタルビデオ屋があったので日本のプロレスを見るのも特に困らなかったようである。

そしてガチオタク向けプロレスファンクラブ会誌『レスリング・オブザーバー』の読者欄でテープを取引しまくってるうちに特集記事で猪木に惚れ込んだルシエは何をどうしたのか猪木主催の『ワールド・ピース・フェスティバル・in LA』の記者会見に潜り込むことに成功し、なんと猪木と接触してイベントの最前列チケットまでゲットしてしまう。行動力が凄まじい。

現在はトラック運転手のかたわら、引退したレスラーを支援するための非営利団体『カリフラワー・アレイ・クラブ』でソーシャルメディア担当を務めつつ、秘蔵のビデオをデータ変換してはYouTubeにアップするという真っ黒な趣味生活を送っている。めちゃ貴重なビデオばっかりだから探すといいよ。(消されると困るからリンクは貼らないよ!ゴメンね!)



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ジョン・マカダムス。他に御本人の写真が見あたらなかったため、ニュースサイトからお顔のわかる写真を拝借しました。現在はテープトレード界隈からは身を引いているそうです

もう1人のジョン・マカダムスは当たり前だがこっちもズブズブのプロレスオタクである。

まだ小学生だった1985年に初めてビデオデッキを手に入れたマカダムスは、色んなプロレス雑誌の投稿欄にのべつまくなしプロレステープ交換の依頼を投稿しまくっていた。気がついたらプロレスオタク界の重鎮デイブ・メルツァー(前述のレスリング・オブザーバー誌の編集長)と知り合いになっていたらしい。

その後成人したマカダムスはテープトレーダーをしながらプロレスプロモーターとして活躍していたが、1990年代半ばにAOL(アメリカ・オンライン)のプロレステープ取引板で1人の少年が彼に接触する。


トニー・カーン。当時12歳。


現在AEWの社長であるトニー・カーンはマカダムスのテープトレーディングのためにマカダムス個人ウェブサイトのHTMLを組んでいたのだ。12歳にして胴元側である。恐ろしいにも程がある。


なおアメリカ中の大物テープトレーダーはだいたいトニー社長と取引したことがあるらしい。銭あるからな…
(余談だがトニー社長はECW以前からジェリコのファンでベストバウトはWAR両国でのウルティモ戦だそうである)

元ECWのブライアン・ヘフロン(ブルーダスト)ともテープ交換歴があるというトニー社長。さすがっス…


そう、テープトレーディングなしにはトニー社長がドボドボのプロレスオタクになることはなく、AEWも存在しなかったのである…
テープトレーディング…それは90年代アメリカにおけるプロレスの歴史…

まあトニー社長は「僕は確かに熱心なテープトレーダーだったけどAEWの不法配信はマジ絶許」って言ってるけどね



アメリカのいにしえのプロレスオタクが言う『古きよき時代』、それは著作権ド無視の無法地帯だったのである。