W-asiのアメプロおぼえがき

AEWのせいで15年ぶりにアメプロ沼落ちしたオタクのブログです

サッカーブームとドラゴンスリーパーとデル・ピエロ

私がかつてアメプロにハマっていたゼロ年代前半、日本中はサッカーに熱狂していた。

かくいう我が家も当時は私以外みなサッカーキチで、中田英寿ペルージャに移籍する前からセリエAプレミアリーグを熱心に見ていた。一番のサッカーマニアである兄に至っては、イタリアまで試合を観戦しに行ったことがあるほどだった。

そしてWWEではHHHを推していた母は、サッカーではイタリアのアレッサンドロ・デル・ピエロの大ファンだった。HHHは過去形だがデル・ピエロのことは今でも好きらしい。日韓ワールドカップの際に国内メディアがベッカムやトルコのよくわからん選手ばかり追いかけてデル・ピエロにほとんど触れなかったことを未だに呪っている。

 

そんな我が家、いや、日本のサッカー熱の冷めやらぬ2005年のある日、新聞のテレビ欄に小さくこう書かれていた。

ワールドプロレスリング デル・ピエロ

…プロレス番組にデル・ピエロ…? さすがに何かの間違いではないか…? 母はテレビの前でぐうぐう眠っている。そしてテレビ欄が示した時間になり、私はテレビ朝日にチャンネルを変えたーーー

 

そこには本当にデル・ピエロがいた。さすがイタリアが誇る色男、顔がいい。いや、そうじゃない。日本のプロレス番組だぞ。なんで世界の大スターでいらっしゃるデル・ピエロが出てるんだ…??

私は必死に母を起こそうとした。だが母は頑として起きない。プロレス番組にデル・ピエロが出ていると言って信じてもらえる訳がなかった。

「ほら!デル・ピエロドラゴンスリーパーかけられてる!!!」

まあ普通信じませんよね…??気持ちはわかる。でも本当にブラウン管の中のデル・ピエロは大喜びで藤波辰巳ドラゴンスリーパーをかけられてたんですよ…お土産にタイガー(4代目)のマスクまでもらって、イタリアの空港でそれをかぶってウキウキで写真を撮られていた。デル・ピエロはガチの新日オタクだったのだ。当時は地デジもHDDレコーダーもなかった時代ゆえ即時録画などできるはずもなく、この事実を母に信じさせるためには10年の歳月を要した。ありがとうニコニコ動画。(現在は削除されています)

 

デル・ピエロいわく、イタリアでは1970~80年代に新日本プロレスが放送され、それはそれは大人気だったという。そして、それにはちょっとした裏事情があった。

イタリアは実は日本のアニメをジャンジャン放送している。それも結構古いやつで、80年代までに仕入れたアニメを繰り返し放送しているらしい。90年代末にイタリアに行った兄が「あっちでは未だに北斗の拳をやってるんだ」と言っていた。Wikipediaを参照すると去年(2019年)うる星やつらの完全吹き替え版が放送されたそうな。れい…わ…?東京BABYLONどころじゃねえぞ!!

…それはさておき、そんな70~80年代のイタリア・アニメブームの中で放送された1本が『タイガーマスク』で、これがものすごくヒットした。だがイタリア人にはプロレスがわからない。ならついでに日本のプロレス番組も放送しましょうとなったところ、本物のタイガーマスクが戦っている!!ということもあり大当たりしたのだという。デル・ピエロはそんな時代に育った子供のひとりだったのだ。

だが、かつてイタリアにプロレスブームがあったとはいえ、イタリア出身の名レスラーといわれるとピンとこない。当時のイタリア人にとってプロレスは見るものであって、やるものではなかったのだろう。なお現在はイタリアにもICWというプロレス団体があり、全日のAKIRA選手(なんとTAJIRIさんの弟子!)がこちらの出身である。

 

もし、1980年代のイタリアに本格的なプロレス団体があったなら、デル・ピエロはサッカー選手ではなくプロレスラーになっていたかもしれないなあ…と言うと、サッカーファンの方に怒られてしまうでしょうか?

よく聞くと「タイガーマスク」と言っていることだけはわかる動画。