W-asiのアメプロおぼえがき

AEWのせいで15年ぶりにアメプロ沼落ちしたオタクのブログです

サッカーブームとドラゴンスリーパーとデル・ピエロ

私がかつてアメプロにハマっていたゼロ年代前半、日本中はサッカーに熱狂していた。

かくいう我が家も当時は私以外みなサッカーキチで、中田英寿ペルージャに移籍する前からセリエAプレミアリーグを熱心に見ていた。一番のサッカーマニアである兄に至っては、イタリアまで試合を観戦しに行ったことがあるほどだった。

そしてWWEではHHHを推していた母は、サッカーではイタリアのアレッサンドロ・デル・ピエロの大ファンだった。HHHは過去形だがデル・ピエロのことは今でも好きらしい。日韓ワールドカップの際に国内メディアがベッカムやトルコのよくわからん選手ばかり追いかけてデル・ピエロにほとんど触れなかったことを未だに呪っている。

 

そんな我が家、いや、日本のサッカー熱の冷めやらぬ2005年のある日、新聞のテレビ欄に小さくこう書かれていた。

ワールドプロレスリング デル・ピエロ

…プロレス番組にデル・ピエロ…? さすがに何かの間違いではないか…? 母はテレビの前でぐうぐう眠っている。そしてテレビ欄が示した時間になり、私はテレビ朝日にチャンネルを変えたーーー

 

そこには本当にデル・ピエロがいた。さすがイタリアが誇る色男、顔がいい。いや、そうじゃない。日本のプロレス番組だぞ。なんで世界の大スターでいらっしゃるデル・ピエロが出てるんだ…??

私は必死に母を起こそうとした。だが母は頑として起きない。プロレス番組にデル・ピエロが出ていると言って信じてもらえる訳がなかった。

「ほら!デル・ピエロドラゴンスリーパーかけられてる!!!」

まあ普通信じませんよね…??気持ちはわかる。でも本当にブラウン管の中のデル・ピエロは大喜びで藤波辰巳ドラゴンスリーパーをかけられてたんですよ…お土産にタイガー(4代目)のマスクまでもらって、イタリアの空港でそれをかぶってウキウキで写真を撮られていた。デル・ピエロはガチの新日オタクだったのだ。当時は地デジもHDDレコーダーもなかった時代ゆえ即時録画などできるはずもなく、この事実を母に信じさせるためには10年の歳月を要した。ありがとうニコニコ動画。(現在は削除されています)

 

デル・ピエロいわく、イタリアでは1970~80年代に新日本プロレスが放送され、それはそれは大人気だったという。そして、それにはちょっとした裏事情があった。

イタリアは実は日本のアニメをジャンジャン放送している。それも結構古いやつで、80年代までに仕入れたアニメを繰り返し放送しているらしい。90年代末にイタリアに行った兄が「あっちでは未だに北斗の拳をやってるんだ」と言っていた。Wikipediaを参照すると去年(2019年)うる星やつらの完全吹き替え版が放送されたそうな。れい…わ…?東京BABYLONどころじゃねえぞ!!

…それはさておき、そんな70~80年代のイタリア・アニメブームの中で放送された1本が『タイガーマスク』で、これがものすごくヒットした。だがイタリア人にはプロレスがわからない。ならついでに日本のプロレス番組も放送しましょうとなったところ、本物のタイガーマスクが戦っている!!ということもあり大当たりしたのだという。デル・ピエロはそんな時代に育った子供のひとりだったのだ。

だが、かつてイタリアにプロレスブームがあったとはいえ、イタリア出身の名レスラーといわれるとピンとこない。当時のイタリア人にとってプロレスは見るものであって、やるものではなかったのだろう。なお現在はイタリアにもICWというプロレス団体があり、全日のAKIRA選手(なんとTAJIRIさんの弟子!)がこちらの出身である。

 

もし、1980年代のイタリアに本格的なプロレス団体があったなら、デル・ピエロはサッカー選手ではなくプロレスラーになっていたかもしれないなあ…と言うと、サッカーファンの方に怒られてしまうでしょうか?

よく聞くと「タイガーマスク」と言っていることだけはわかる動画。

 

 

ALLOUTとオレンジジュースと電流爆破デスマッチ

私にとってAEW沼落ち後初のPPV、ALLOUTはマットの事故ばかりが話題になってしまい地獄の1週間を過ごしたわけだが、マットのDynamiteでの発言でそれなりに安心したので「これで心おきなくALLOUTに課金できるわ~」とFITE TVのPPV購入画面まで進んだところ、クーポンを使いますかボタンが出てこない。お~おかしいな~確かに残高あるんだけどな~とFITE TVのFAQを検索してみたところ、AEWのPPVでクーポンが使えるのはFULL GEARという別のPPVだけだった。ちょっと待ってDouble or Nothingもクーポン使えないの…?こんなことならご新規さんキャッシュバックキャンペーン期間中に課金しておくんだった…そんなわけで素直にチャリンと20ドル課金しました。なお私の招待コードは 4vy27lk です。あとFYTER FESTがPPV扱いじゃないのはちょっと正気の沙汰じゃねえなと思いました。3時間41分…

前置きが長い。

ともかく20ドルチャリンして見たALLOUT。まさかマットvsゲバラ戦が開始2分程度で事故るとは思わなかった。いくらなんでも早すぎるわ!いきなり遺恨のフィニッシュムーブで始まる試合があるか!本来の予定ではじっくり20分ぐらいやる試合だったんだろうが、マットの怪我が怪我なので超高速で終わってしまった。マットの後ろについてくるオーブリーさんとスタッフが終始真顔だったのが印象的であった。

2試合あったバトルロイヤル戦は数が多すぎて選手の個性が目立たなかったのが残念。一番輝いてたのは頭陀袋(たぶん蛇が入ってる)をワサワサさせながら何もしなかったジェイク・ロバーツだった。何しにきたんだあんた。

 ブリット・ベイカーvsビッグ・スウォールはなんで歯医者で戦ってるのか見てたときはわからなかったけど、ブリットって本業が歯医者なんですね。あの歳で病院持ってるのすごいな。試合はしょうもなかったが。志田さんの試合は普通によかったです。

 

特に面白かったのはラスト2試合、ジェリコvsキャシディのミモザ・メイヘム・マッチとモクスリーvsMJFのヘビー級王座戦。ここだけでも20ドル払う価値がある。もうMJFのことは書いちゃった(本当はこの記事を先に投稿する予定だったんですけど)ので、ミモザ・メイヘム・マッチのことだけ書きます。

 ミモザ・メイヘム・マッチ。なんだか名前はカッコイイが、一体どういう試合かというと、リングの両脇にオレンジジュース(に見える色のついた水?)がなみなみと注がれた五右衛門風呂みたいなでかい桶が置いてあって、そこに落ちたら負け、というものである。なんでオレンジジュースかというと、対戦相手がオレンジ・キャシディだからという一発ネタ。しょうもないな??

しかしこのバカバカしい設定の試合が意外に面白かった。プロレスなのに寄り切りの概念が付与されており、落とすか落とされるかギリギリの攻防が繰り広げられていたのだ。


でもこういう試合だと超軽量級のオレンジさんが損するね…ピュッて飛んだら落ちちゃうじゃん… まあ最後は言い出しっぺのジェリコがドボンと落ちてド派手な水しぶきを上げてたわけですけど。

とはいえ「落ちたほうがオイシイ」試合であることは間違いなく、ドボンしたジェリコはコラ素材と化しSNSを駆けめぐっていた。ここまで計算してセッティングしたとしたら大したものである。

ジェリコお手製のミモザ・メイヘム・マッチのイメージスケッチ。実現させたスタッフに感服である。ミック・フォーリーは呆れていたが。

そして後日、ジェリコは芸能ニュースサイト『デジタルスパイ』のインタビューでミモザ・メイヘム・マッチの元ネタについて答えている。それはジェリコのプロレス人生と深く結びつくものであった。

www.digitalspy.com

「この試合にピッタリなのはラストマン・スタンディングでもハシゴでもデスマッチでもねえ。ここまでのストーリーでは俺たちインナーサークルがオレンジの野郎からオレンジジュースの爆弾を食らって、そして俺がシャンパンで反撃した。さあ、オレンジジュースとシャンパンを混ぜたら何ができる?ミモザ(カクテル)だろ?そして俺は思い出したのさ… 爆発する有刺鉄線を避けながら戦う、FMWの電流爆破デスマッチをな!そいつをロイヤルランブルや棺桶マッチと合体させてミモザ・メイヘム・マッチの出来上がりってわけだ」(Google翻訳を使った雑な訳)

ここでまさかの大仁田厚ジェリコはかつて大仁田率いるFMWにいたので電流爆破デスマッチを知っていて当然なのだが…でも大仁田は避けるどころか自分から有刺鉄線に突っ込んでたぞ。しかしオレンジジュースの風呂に落とす馬鹿げた試合の元ネタが血みどろと火花の電流爆破デスマッチだと誰が見抜けようか。ミモザ・メイヘム・マッチはジェリコの青春時代と現代を繋ぐものだったのだ。プロレスは人生の縮図とはよくいったものである。

ちなみになんでジェリコシャンパンかというと、ジェリコは自分でシャンパンをプロデュースしている。YOSHIKIワインの影響かな…

惜しむらくはこのミモザ・メイヘム・マッチに二度目がなさそうなことと、ALLOUT自体がマットの事故で霞んでしまったことである。FULL GEARも期待してます。

ジェリコとメタルとネーミングセンス

ALLOUTの記事を書く気でいたんですが、ちょっとMJF記事で頑張りすぎてどうしたもんかなと思ったので箸休めなネタ記事です。

みんな知ってるクリス・ジェリコ。みんな知らなくても新日に突然出てきた態度クソデカおじさん(演技)は大人気シャークネードシリーズでサメに食われたのでみんな知ってるはずだろう(無茶いうな)昔はキラキラ☆超絶イケメンだったが最近は体型が橋本真也みたいになってきて心配になってきたクリス・ジェリコ。人間って成長期が終わっても顔が大きくなるんですね!!アゴどこいった。

ジェリコデビュー30周年記念特番の告知。大人の事情でECW~WWE時代の写真が使えないのでライオン道かデモゴッドしかいない。

そんなジェリコはヘビメタが大好き。当のアメリカではヘビメタはまっっっっったく流行っていないがスキマ趣味ではじめたヘビメタバンド活動に熱を入れすぎてWWEを休業する程度にはヘビメタ野郎である。最近は船上ライブもやってるがゲストはプロレス関係者ばっかりだ。なお好きな日本のロックバンドはX JAPANLOUDNESS。BABYMETALはお気に召さないらしい。余談だが初期のFozzy(ジェリコのバンド)にはタモリ倶楽部でおなじみの元メガデスマーティ・フリードマンがおり、ジェリコポッドキャストでマーティにももクロを激推しされていた。やめてやれよ…

憧れのYOSHIKIと記念写真。FMWにいた1991年からファンというから、なかなかのガチ勢である。ジェリコが生きてる間に新アルバムが出るといいね…

そんなわけでジェリコははしばしにヘビメタネタを仕込んでいる。

フィニッシュムーブのウォールズ・オブ・ジェリコ(という名の逆エビ固め。逆エビはベノワから教わったらしい)はキリスト教の逸話に出てくる『ジェリコの壁』のことだが、本当はHELLOWEENのアルバムから取られているというのは有名。ジェリコの本名はクリストファー・キース・アーヴァインなのでリングネームもこのアルバムからだろう。ちなみにジェリコの壁は逸話だと崩れて落ちる。ダメでは???

ジュダス・エフェクトは多分メタルバンドのジューダス・プリーストから。FozzyでもJudasって曲歌ってますね(入場曲でおなじみ)

ミモザ・メイヘム・マッチはミモザがオレンジジュースとシャンパンのカクテル、メイヘムは直訳すると「暴力」だが、ノルウェーブラックメタルバンドの名前でもある。

なんかジェリコ好きそうなのわかる

インナーサークルは北欧メタルにおける悪魔崇拝ギミックのことらしい。ブラック・サバスみたいな…?だからマークが魔法陣なのね…つか北欧メタルめっちゃ好きやなジェリコ。インナーサークルの十字架Tシャツの元ネタはGUNS N' ROSESですね。

 

コードブレイカーは解読者という意味だそうだが、たぶんダビンチ・コードでも読んだんだろう。昔からヘビメタは宗教ネタやオカルトと相性がいいのである。(ここ適当)(だったのだが、後に本当にジェリコがオカルトマニアであることが判明しました)

つまりジェリコの技名やらその他ネーミングが妙に宗教臭いのは、熱心なキリスト教徒…だからではなく単に「メタルっぽくてカッコイイ」という中2センスからである。熱心なキリスト教徒だったらジューダスとか技名にせんわな。

お陰様でジェリコのネーミングセンスが暗黒の破壊神であり、脳内でダーク・シュナイダーが暴れ回ってしまうオタクがいる。私だよ。ダムド!

 

ちなみに私が好きなアーティストはWake Up, Girls!です!!👐

 

ノバチェックと赤いガウンとMJF

初めて見た時の印象は、なんかやたら濃い兄ちゃんだなという感じだった。

彼の名前はMJF。フルネームはマックスウェル・ジェイコブ・フリードマン。なおジェイコブの部分は本名ではないそうである(本名はマックスウェル・T・フリードマン)。

なんだかよくわからんが政治家みたいな設定らしく、いつもスーツを着てバーバリーみたいなノバチェック地のマフラーを常に首にかけ、しょっちゅう演説台を前にまくし立てている。とにかく声がでかくてうるさい。周りにはいつも秘書や弁護士をはべらせ、めちゃくちゃ偉そうに振る舞う嫌味な若造。感情は機嫌がよくてニヤニヤしてるか機嫌が悪くてイライラしてるかの二択しかない。

どっかで見たことあるな、と思った。

慇懃無礼な紳士(と自分で思っている)というキャラはウィリアム・リーガル、チェックとやかましいマイクアピールはロディ・パイパー、よく動く表情筋はザ・ロックの影響だろう。1996年生まれの24歳だそうだが、よくここまで過去のヒールを研究したもんだな、と感心した。が

MJFはそんなものではなかった。

こいつは 本物(ガチ)である。

 

Dynamiteのとある回のスキット(試合の幕間に流れる、番組のストーリーラインを説明するためのミニドラマ)の出だしで、MJFはしかめっつらで叫んだ。

「ゲンキデスカッ!!!」

空耳かとその時は思っていた。いやまさか。似た発音の言葉が英語にもあるのかもしれない。そもそも「元気ですか!!」は、しかめっつらで叫ぶような言葉ではない。

だが、MJFは本物(ガチ)だった。

ALLOUTでのAEW世界王座戦のゲート入場、彼は真っ赤なガウンを着て現れたのだ。

 
 
 
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燃えるー!!闘魂ー!!!アントニオMJFー!!!

ガチだ。こいつはとんでもねえプロレスオタクだ。

よくよく考えたらスーツ姿も、いつも首からかけているマフラーも、赤いネクタイもアントニオ猪木のそれである。政治家ギミックも猪木が政治家であることから影響を受けているのかもしれない。1996年生まれの24歳の若手レスラーが猪木のコスプレをしているのだ。どういうことだってばよ。なおMJFのトレードマークは円形のエンブレムにライオンである。新日のマークじゃねえか!

試合もめちゃくちゃ上手かった。重戦車みたいなパワーファイターのモクスリーを地味ィに痛そうなサブミッションでジワジワ責めていくのだが、その技の間ずっとMJFはニヤニヤしている。客席から飛びまくるブーイングにMJFは大喜び。恐るべき24歳である。試合後半には御丁寧に闘魂注入ビンタ合戦まであった。そこまで猪木かよ。試合自体はモクスリーが王座を防衛したが、オーディエンスを支配していたのは明らかにMJFだった。

何がMJFをこうさせたのか、私はとりあえずMJFのインスタを遡ることにした。

 
 
 
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MJFくん17歳。ごく普通の高校生。てか高校生の頃からのアカウントをずっと使っているのかよ…

 

 
 
 
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その数日後、友達と一緒にRAWの収録に参戦。めっちゃいい席だな…この頃は普通のプオタくん。推しはジョン・シナだったそうな。

 

 
 
 
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半年後にこうなりました。早いわ!!!なお自分でもネタにしている。

 
 
 
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そして2014年の9月にはプロレス道場に入門していたようなのだが、最初の写真から1年経ってない。マジかよ…2015年にはWWEが主催する新人育成企画タフ・イナフにエントリーしたものの、参加にまでは至っていないようであった。しかし何がMJFを突き動かすのか。それは2015年8月2日ーロディ・パイパーの命日の2日後のインスタグラムにあった。

 

 
 
 
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これによると、MJFはおよそ5歳の頃に叔父さんの家で初めてプロレスを見て「このでっかいおじさんたちの殴り合いは本物なの?」と聞いたところ「マジさ!」と返され「そんなわけねえだろ」と思い、ビデオ屋WWEのDVDを買ってもらって研究を始めたそうである。かわいくねえガキだなw

その後みるみるうちにプロレスオタクになり、自身が生まれる以前の試合までチェックするうちに、でかいホーガンやロックやアンドレ・ザ・ジャイアント(古いわ)よりも小柄なパイパーを推すようなガチオタクになってしまったという。わかるよ私もパイパー好きだったよ…夜中のテレビで見たゼイ・リブの主人公と同一人物だとわかるまで時間かかったけど… あ、このパイパー追悼文章、めちゃくちゃいい話なので是非皆さんGoogle翻訳で読んでください。

5歳にしてプオタ幼児となったMJFはバラエティ番組『ロージー・オドネル・ショー』に出演し、この歳にして恐るべきトーク能力を披露している。いやすげえな…当時の推しはロック様とゴーバー。

www.youtube.com

ここまででおわかりいただけただろうか、MJFのリング上でのキャラクターは一朝一夕にできたものではない、彼が5歳から24歳の今に至るまで19年に渡るガチガチのプロレスオタクであるからこそ成せるプロレス研究の成果なのだ!プロレス界の庵野秀明かよ…!!

なお、インスタを漁っても猪木のことはどこにも書いてなかった。いつかボロってくれることを願う。たぶんジェリコのライオン道時代とかも知ってる。

 

あと、めちゃくちゃ歌が上手いのでどっかで有効活用してあげてください

 
 
 
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AEWとプレゼン資料と地獄絵図

本当はAEWに沼落ちした話を最初にやりたかったのだけど、その前にベノさんの話をしないとAEW沼までの経緯が書けないので1本目が湿っぽい話になってしまいました。今回からはノーテンキにいきます。

さて、ベノワの息子デビッドくん情報からAEWを知ったは私は、かつてWWEにいたスター選手のクリス・ジェリコと、あんまスターというほどでもないがハードコア馬鹿兄弟ハーディー・ボーイズの兄のほうマット・ハーディーがAEWに所属しているという理由からYouTubeで動画を見始め、豪速球で沼に落ち、次の日には格闘技配信アプリのFITE TVの会員になっていた。気づくと3日間で10本ほどDynamite(毎週やってるAEWの番組)を見ていた。寝ろよ。

我が家はかつては家族でWWEを見ていた(茶の間のTVでしかCATVが映らないため家族で見るしかない)ので母もある程度プロレスに理解があり、ついでに昔はHHHのファンだった。ので母にも一応AEWを見せてみた。めちゃくちゃ笑っていた。あとバットを持った丸太みたいな腹のおっさんがクリス・ジェリコであると私が言うまで理解できていなかった。昔はスマートな長い足でウォール・オブ・ジェリコという名のただの逆エビ固めで活躍していた若者も、今では50近いおっさんである。一方でマットはほとんど見た目が変わってないのだが…

 

そして、コレは布教せねばならぬと確信した私は、沼落ち4日目にしてプレゼン資料をTwitterに載せることにした。それがこちらである。

直した、と書いてあるのはこれの前にもう1枚上げてあり、こちらは一部修正しレフェリーのオーブリーさんを追加したバージョンである。そしてこれを、AEW在籍レスラーであるさくらえみさん(現在はコロナの都合か日本にいらっしゃるようである。なおAEWは他団体との掛け持ちが認可されている)がRTしてくださり、そこから現AEW女子王座ホルダーの志田光さんにまで引用RTしていただき、世界中のAEWオタクの皆さんからお褒めの言葉を頂いた。ありがとうございます。ところで皆さんお気づきだろうか。プレゼン資料を見てるのはみんなAEWのオタクばかりで布教になっていないのだ!わはは。なお数日後にはオーブリーさんにもバレた。

 

そしてTwitterに書いた通り、この絵を上げた日はAEWのPPV(課金式特番)ALLOUTの放送日だった。私はケチなので登録時にもらったクーポンが使えるようになる1週間後に見るつもりだったのだが、とりあえず結果だけでも見るべかとTwitterを検索したらとんでもないことになっていた。

マット・ハーディーが高所からのバンプに失敗して後頭部を強打し、レフェリーが一旦試合無効にしたものの根性で試合を続行してしまい最後には医者に運ばれ大騒ぎになっていたのである。

日本だったら「大変だったねえ、痛みに耐えてよくがんばった!」みたいになるかもしれないが、先に書いたクリス・ベノワの無理心中の理由が実は「重度の脳震盪による脳障害の末路」であることはアメリカのプロレスオタクの間では周知の事実であり、結果、マットの名前は12時間ほどアメリカのTwitterのトレンドに居座ることになった。ブチ切れたマットの嫁さんは、なだめようとするファンにまで当たり散らすし、ハードコアの伝説ミック・フォーリーは「あいつだってもう若くねえんだ」とか言い出すし(ミックはハードコアしすぎて30代で引退している)アンチAEWのWWEオタクはここぞとばかりにAEWを叩き出した。AEW沼落ち4日目で地獄絵図である。ぴえん。

マットの事故はあったもののALLOUTはつつがなく進行し(故にオーエン・ハートの死亡事故を連想したファンも少なくないようであった)番組終了後に団体オーナーからマットの精密検査の結果がオールクリアだった(放送からはカットされていたが、マットは簡易脳震盪テストをクリアした上で試合を続行していたらしい)と公表されてもオタクの怒りは静まらなかった。対戦相手のサミー・ゲバラを燃やせというタグまで生まれた。うん、まあゲバラも悪いよ…私もマットが心配すぎてしばらくAEWが見れなかった(注:たかだか3日の間である)

結局この騒動は水曜日(現地時間)のDynamiteでマット自らが謝罪とAEW残留と王座挑戦の意志、そして大事を取って療養することを発表するまで続いた。とりあえず一安心である。ゆっくり休んでくれ~

以上、私がAEW沼落ち1週間で見た地獄の話でした。全然ノーテンキじゃねえな???

私とアメプロと、もういないあなたへ

最初は、TwitterのTLに流れてきたこの動画だった

Twitterで仲良くしてるヒーローバンクオタクの人が「ヒーロバンクじゃん…」て言って流してきたのだが、まあなんだかWWEめちゃくちゃ儲かってんなと思った。とてもSFでサイバーでビカビカしてて未来ずら~ヒーロバンクに関しては各自調べてください。カネとケツの電脳プロレスアニメです。こう書くとアティテュードだな。

私は2001~2005年辺りに割とWWEを真面目に追っかけていた(現地参戦はしていないがPPVに課金はしていた)のだが、なんとなくアメプロから離れて15年ほどになる。離れてる間に推していた選手が3人ほどあの世の住人になってしまったこともあり、ずっとアメプロとは距離を置いていた。

 

ふと、あるレスラーのことを思い出した。かつてヘビー級王座を手にしながらも、アメプロ界で最も悲惨な死に方をしてしまい、そのあまりの惨劇によりWWEから記録を抹消されてしまった男である。

私は彼が大好きだった。技のひとつひとつが、彼の動きが美しかった。プロレスラーとしては小さな体で大柄な米マットのレスラーたちに挑む勇気も。そしてなんとなく不器用そうなところも好きだった。

私がアメプロから離れても、彼が元気でいてくれればいいなと思っていた。

 

だが、私がアメプロを見なくなって数ヶ月後、彼の親友が突然死んでしまった。彼の親友は、誰もが認めるプロレスの天才だった。2人は20代の頃に新日の練習生として出会い、苦楽を共にした、本当に生涯の親友だった。

そして彼も、親友を追うように死んでしまった。妻と息子を道連れにして。

私は呆然としてしまった。

もうアメプロを見ることは一生ないな、と思った。彼の死はあまりに悲しすぎた。

 

彼の死から13年が過ぎて、たまたま流れてきたWWEのハイテク動画を見て、なんとなく、彼のことを検索してみた。

当たり前のように、公式の選手名鑑には出てこない。公式動画にも彼の名試合は上げられていなかった。(もろもろの非公式手段で見ることはできるが)

 

だが、たったひとつだけ希望が残されていたことを知った。

彼にはもう一人息子がいて、プロレスラーを目指して修行中だったのだ。

 
 
 
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さすがに目頭が熱くなった。年齢は既に27だそうで、遅いチャレンジにはなるけれど頑張ってほしいと心から思った。彼のインスタグラムには、父親が憧れたダイナマイト・キッドのブーツや、父親がかつて修行したハート・ダンジョンの写真が載っていた。生前の写真もたくさんあった。

彼はプロレスデビューした暁には、父の名前を継ぎたいと思っているという。

 

私が大好きだったクリス・ベノワ。今どこにいますか。天国ですか。それとも地獄の刑務所でしょうか。責任感の強いあなたのことだから、きっと今は地獄にいるのでしょう。いつかあなたの罪が赦されて、あなたが家族や親友―エディと再会できる日を祈っています。

あなたのもう一人の息子はいま、地上で頑張っています。プロレスラーになるため、あなたの名誉を取り戻すために。

あなたの息子のおかげで、私はまたアメプロを見るようになりました。AEWという団体です。そこにはあなたのもう一人の友達、クリス・ジェリコがいます。エディの奥さんのヴィッキーさんもいます。できたばかりで前途は多難そうだけど、とても楽しい素敵な団体です。そして、あなたの息子はその団体への入団を目指しています。

ジェリコとヴィッキーともうひとりのクリス、3人並んで笑顔を見せてくれる日を、私は待っています。

 

ようやく言えます。さようなら、クリス・ベノワ。私は今もあなたの試合が大好きです。

 
 
 
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